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Medical blog診療ブログ

鼠径ヘルニア手術は医師の経験で変わる?症例数と安全性の関係を論文で解説

腹腔鏡手術

鼠径ヘルニア手術を検討されている方の中には、「どの術式が良いのか(腹腔鏡か、鼠径部切開法か)」を重視される方が多いと思います。

もちろん術式の選択も重要ですが、実はそれと同じ、あるいはそれ以上に大切なのが「誰が手術を行うか」という点です。

この“医師の経験”が手術の結果に影響することは、感覚的な話ではなく、医学的にもはっきりと示されています。

論文が示す「手術件数と成績」の関係

外科領域では以前から、「症例数の多い医師・施設ほど治療成績が良い」という関係(volume–outcome relationship)が知られています。

これはさまざまな手術で確認されており、手術件数の多い施設では死亡率や合併症率が低いことが報告されています。

鼠径ヘルニア手術においても同様の傾向があり、Ferdinand Köckerling らによる大規模なレジストリ解析1)では、

  • 手術件数の少ない外科医では合併症が多い
  • 再発率も有意に高い

ことが明らかになっています。

また、近年のBJS Open の報告2)でも、

  • 手術件数の少ない施設では再発率が約5%以上
  • 一方で高症例施設では約3%前後

と、明確な差が認められています。

これらの結果は、経験の差がそのまま手術の結果の差につながることを示しています。

なぜ経験で差が出るのか?

手術は単なる「作業」ではなく、その場その場での判断が求められる高度な医療行為です。特に鼠径ヘルニア手術では、

  • 解剖(筋肉・血管・神経の位置)や肥満などの体形の個人差
  • ヘルニアのタイプ(内・外・大腿など)や大きさ
  • 癒着の有無

など、患者さんごとに状況が異なります。

経験の豊富な外科医は、

  • 微妙な解剖の違いを正確に把握できる
  • 神経や血管を避ける操作ができる
  • 出血やトラブル時にも迅速に対応できる

といった点で優れています。

また、腹腔鏡手術ではモニター越しに操作を行うため、距離感や角度の把握にも熟練が必要です。

鼠径ヘルニア特有の“経験差が出るポイント”

鼠径ヘルニア手術は「よくある手術」と言われることもありますが、実際には非常に繊細な要素を含んでいます。

例えば、

  • 神経へのわずかな接触 → 術後の慢性疼痛
  • メッシュのわずかな位置ズレ → 再発
  • 剥離範囲の不足 → 再発や違和感

といったように、数ミリ単位の違いが術後の結果に影響する手術です。

そのため、経験の差が結果に反映されやすい手術とも言えます。

腹腔鏡手術は特に経験が重要

現在主流となっている腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TAPP法)は、

  • 繊細な剥離操作
  • 適切なメッシュ展開
  • 正確な腹膜閉鎖

など、高度な技術を必要とします。

そのため、多くの研究で一定の症例数を経験するまで成績が安定しない(ラーニングカーブがある)ことが示されています。

つまり、経験の少ない段階ではどうしても合併症や再発のリスクが高くなる可能性があります。

当院の特徴

当院では、これまでに3,000例以上の腹腔鏡による鼠径ヘルニア手術を経験した院長がすべての手術を担当しています。この経験により、

  • 合併症のリスクをできる限り低減
  • 再発の起こりにくい確実な修復
  • 出血が少なく手術時間の短い手術
  • 身体への負担を最小限に抑えた手術

を重視しています。

また、術前評価から術後フォローまで一貫して対応することで、患者さん一人ひとりに最適な治療を提供できる体制を整えています。

まとめ

鼠径ヘルニア手術を受ける際には、術式(腹腔鏡かどうか)だけでなく、医師の執刀経験数にもぜひ注目してください。

これまでの研究からも、手術経験数は治療の安全性と結果に直結する重要な要素であることが明らかになっています。

安心して手術を受けるために、経験豊富な医師を選ぶことは非常に重要なポイントです。

最後に

鼠径ヘルニア手術は決して特殊な手術ではありませんが、術者によって結果に差が出ることが知られています。

そのため、「どこで受けるか」ではなく「誰に任せるか」という視点も、ぜひ大切にしていただければと思います。

■ 参考文献
1) Köckerling F, et al. “Does surgeon volume matter in the outcome of endoscopic inguinal hernia repair?” Surg Endosc. 2017;31:573-585.
2) Widman F, et al. Surgical unit volume and reoperation for recurrence following total extraperitoneal groin hernia repairs: nationwide population-based register study BJS Open. 2024;8:136, https://doi.org/10.1093/bjsopen/zrae136

鼠径ヘルニアは当院までご相談ください

神奈川そけいヘルニア日帰り手術クリニック川崎武蔵小杉

神奈川そけいヘルニア日帰り手術クリニック 川崎武蔵小杉は、鼠径ヘルニアの治療に特化した日帰り手術専門クリニックです。腹腔鏡による低侵襲手術を標準治療とし、身体への負担を抑えながら、手術当日にご帰宅いただける体制を整えています。

執刀は、鼠径ヘルニア治療において豊富な臨床経験と学術実績を有する星野明弘院長が担当し、診断から手術、術後フォローまでを一貫して行っています。

受診予約は、お電話またはWeb予約にて承っております。

鼠径ヘルニアや鼠径部の症状でお悩みの方は、当院へお気軽にご相談ください。

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この記事の執筆者

神奈川そけいヘルニア日帰り手術クリニック 川崎武蔵小杉
院長 星野明弘
日本消化器外科学会 専門医・指導医、日本内視鏡外科学会 技術認定医(ヘルニア)として、鼠径ヘルニア治療を専門に数多くの患者さんの診療・手術を行っています。
鼠径ヘルニアの腹腔鏡手術に関する専門書の執筆・監修を手がけるほか、全国の医療機関において手術技術の指導を行い、鼠径ヘルニア手術の安全性向上と技術の普及に取り組んでいます。
日本消化器外科学会 専門医・指導医、日本内視鏡外科学会 技術認定医(ヘルニア)として、鼠径ヘルニア治療を専門に数多くの患者さんの診療・手術を行っています。
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