鼠径ヘルニア手術前にCT検査は必要?専門書執筆医が解説
神奈川県川崎市にある鼠径ヘルニア専門クリニック「神奈川そけいヘルニア日帰り手術クリニック 川崎武蔵小杉」です。
鼠径ヘルニア、いわゆる脱腸の診療では、
「手術前にCT検査は必要ですか?」
「診察だけでは分からないのですか?」
「CTを撮ると何が分かるのですか?」
「被ばくや費用が心配です」
というご質問をいただくことがあります。
結論からいうと、鼠径ヘルニア手術前に、すべての患者さんでCT検査が必要というわけではありません。
典型的な鼠径ヘルニアでは、診察で足の付け根の膨らみを確認することで診断できることが多く、CT検査を行わずに治療方針を検討できる場合もあります。
一方で、膨らみが微妙な方、鼠径部の痛みがある方、再発が疑われる方、大きなヘルニアや特殊なヘルニアが疑われる方では、CT検査が診断や手術計画に役立つことがあります。
当院では、すべての患者さんに一律でCT検査を行っているわけではありません。
診察で典型的な鼠径ヘルニアと判断できる場合には、CTを撮影せずに治療方針を検討することもあります。
一方で、診断をより正確に行う必要がある場合や、安全な日帰り手術のためにヘルニアの状態を詳しく確認した方がよい場合には、CT検査を行うことがあります。
今回は、鼠径ヘルニア手術前にCT検査が必要になるのはどのような場合か、CTで何が分かるのか、CT検査の注意点について、専門書執筆医の立場からわかりやすく解説します。
- 1. 鼠径ヘルニアの診断はまず診察が基本です
- 2. CT検査を行わないこともあります
- 3. CT検査が役立つケース
- 3.1. 膨らみが微妙な場合
- 3.2. 鼠径部痛がある場合
- 3.3. 再発が疑われる場合
- 3.4. 巨大ヘルニアや陰嚢まで下がるヘルニアの場合
- 3.5. 大腿ヘルニアや特殊なヘルニアが疑われる場合
- 3.6. 過去に下腹部や骨盤の手術歴がある場合
- 4. CT検査で分かること
- 5. CT検査の注意点
- 5.1. 被ばくがあります
- 5.2. 費用がかかります
- 5.3. CTで分かりにくいヘルニアもあります
- 6. 当院での考え方
- 7. よくある質問
- 7.1. Q. 鼠径ヘルニア手術前にCT検査は必ず必要ですか?
- 7.2. Q. 診察だけで鼠径ヘルニアは分かりますか?
- 7.3. Q. CT検査で鼠径ヘルニア以外の病気も分かりますか?
- 7.4. Q. CT検査の被ばくは心配ありませんか?
- 7.5. Q. CT検査を撮れば必ず鼠径ヘルニアが分かりますか?
- 8. まとめ
- 9. 鼠径ヘルニアは当院までご相談ください
- 9.1.1. 関連ページ
鼠径ヘルニアの診断はまず診察が基本です
鼠径ヘルニアの診断で最も大切なのは、患者さんのお話を聞き、実際に診察で足の付け根の状態を確認することです。
鼠径ヘルニアでは、
- 立つと足の付け根が膨らむ
- 寝ると膨らみが戻る
- 手で押すと戻る
- 咳やくしゃみ、力を入れたときに膨らむ
- 夕方や運動後に膨らみが目立つ
- 足の付け根に違和感や張りがある
といった症状がみられることがあります。
このように典型的な症状があり、診察で明らかな膨らみを確認できる場合には、診察だけで鼠径ヘルニアと判断できることも少なくありません。
そのため、鼠径ヘルニアの診療では、まず診察で膨らみの場所、大きさ、戻りやすさ、左右差、痛みの有無などを確認します。
鼠径ヘルニアの診断は、まず診察が基本です。
CT検査は有用な検査ですが、診察の代わりに行うものではなく、診察だけでは判断が難しい場合や、より詳しい確認が必要な場合に検討する検査です。
CT検査を行わないこともあります
当院では、鼠径ヘルニアの患者さん全員にCT検査を行っているわけではありません。
例えば、
- 立つと明らかに足の付け根が膨らむ
- 寝ると膨らみが戻る
- 手で押すと戻る
- 咳や力みで膨らみが出る
- 診察でヘルニアの場所がはっきり確認できる
といった典型的な鼠径ヘルニアでは、CT検査を行わなくても診断や治療方針を検討できることがあります。
CT検査には被ばくがあり、保険診療であっても検査費用の自己負担が発生します。
そのため、診察で十分に判断できる場合に、必ずしもCT検査を追加する必要はありません。
当院では、すべての患者さんに一律でCT検査を行うのではなく、必要性を判断したうえで検査を行っています。
大切なのは、検査を多く行うことではなく、患者さんにとって必要な検査を適切に行うことです。
CT検査が役立つケース
一方で、CT検査が診断や手術計画に役立つ場合もあります。
当院では、特に次のような場合にCT検査を検討しています。
膨らみが微妙な場合
患者さんの中には、
「足の付け根が少し膨らむ気がする」
「左右差があるように見える」
「立つと違和感があるが、はっきり膨らんでいるか分からない」
という方がいます。
このように膨らみが微妙な場合、診察だけでは鼠径ヘルニアと断定しにくいことがあります。
鼠径部には、鼠径ヘルニア以外にも、リンパ節の腫れ、脂肪腫、精索脂肪腫、血管のふくらみ、筋肉や腱の痛みなど、さまざまな原因で違和感や膨らみが出ることがあります。
明らかな膨らみがない場合に、すぐに手術と決めるのは慎重であるべきです。
膨らみが微妙な場合には、本当に鼠径ヘルニアかどうかを確認するためにCT検査が役立つことがあります。
鼠径部痛がある場合
足の付け根の痛み、つまり鼠径部痛を訴える患者さんもいらっしゃいます。
しかし、鼠径部痛の原因は鼠径ヘルニアだけではありません。
例えば、
- 筋肉や腱の炎症
- 股関節の病気
- 腰椎由来の痛み
- 泌尿器科の病気
- リンパ節の腫れ
- 精索や精巣周囲の病気
- スポーツによる鼠径部痛
など、さまざまな原因があります。
鼠径ヘルニアでは、膨らみを伴うことが多いですが、膨らみがはっきりしない場合、痛みだけで鼠径ヘルニアと判断するのは難しいことがあります。
このような場合にCT検査を行うと、明らかなヘルニアがあるか、他の病気が疑われないかを確認する手がかりになります。
ただし、CTで異常がないからといって、痛みの原因が完全に否定できるわけではありません。必要に応じて、整形外科、泌尿器科、内科など他の診療科での評価が必要になることもあります。
再発が疑われる場合
過去に鼠径ヘルニア手術を受けたことがある方で、再び足の付け根が膨らんできた場合には、再発ヘルニアの可能性があります。
再発ヘルニアでは、初回手術とは異なり、過去の手術による癒着やメッシュの位置などが関係することがあります。
また、前回の手術方法が鼠径部切開法だったのか、腹腔鏡手術だったのかによって、次の手術方針が変わることがあります。
再発が疑われる場合には、どの部位から再発しているのか、反対側にもヘルニアがないか、どの手術方法が適しているかを慎重に判断する必要があります。
再発が疑われる場合には、手術計画を立てるためにCT検査を行うことがあります。
巨大ヘルニアや陰嚢まで下がるヘルニアの場合
鼠径ヘルニアの中には、長期間放置されて大きくなり、陰嚢の方まで下がっているものがあります。
このような大きなヘルニアでは、通常の小さな鼠径ヘルニアに比べて、手術の難易度が高くなることがあります。
巨大ヘルニアでは、
- ヘルニアの袋が大きい
- 腸や脂肪が多く出ている
- 戻りにくい
- 周囲との癒着がある可能性がある
- 術後の腫れや漿液腫が起こりやすい
- 日帰り手術が適しているか慎重な判断が必要
といった点を考える必要があります。
CT検査を行うことで、ヘルニアの大きさや内容、手術の難易度、日帰り手術が安全に行えるかを判断する材料になります。
大腿ヘルニアや特殊なヘルニアが疑われる場合
足の付け根のヘルニアには、鼠径ヘルニアだけでなく、大腿ヘルニアという種類があります。
大腿ヘルニアは、鼠径ヘルニアより少し下の位置に出ることがあり、特に女性や高齢の方で注意が必要です。嵌頓を起こしやすいことがあり、鼠径ヘルニアとは治療上の注意点が異なります。
膨らみの位置が微妙な場合や、通常の鼠径ヘルニアと少し違う印象がある場合には、CT検査で確認することがあります。
また、まれに膀胱など腸以外の臓器がヘルニアに関係していることもあります。
このような特殊なヘルニアが疑われる場合には、手術前にCT検査で臓器との位置関係を確認しておくことが、安全な手術計画につながることがあります。
過去に下腹部や骨盤の手術歴がある場合
過去に下腹部や骨盤の手術を受けたことがある方では、手術方法を慎重に検討する必要があります。
例えば、
- 前立腺手術
- 膀胱の手術
- 大腸の手術
- 虫垂炎の手術
- 婦人科手術
- 以前の鼠径ヘルニア手術
などの手術歴がある場合です。
手術歴があると、腹腔内や鼠径部周囲に癒着がある可能性があります。
すべての手術歴でCTが必要というわけではありませんが、手術の影響が大きいと考えられる場合や、腹腔鏡手術の安全性を慎重に判断する必要がある場合には、CT検査が参考になることがあります。
CT検査で分かること
鼠径ヘルニアの診療でCT検査を行う目的は、画像を撮ることそのものではありません。
目的は、診断をより正確にし、安全な治療方針を立てることです。
CT検査では、必要に応じて次のような点を確認します。
- 鼠径ヘルニアがあるかどうか
- 左右どちらにあるか
- 両側にないか
- ヘルニアの大きさ
- 腸や脂肪など、何が出ているか
- 大腿ヘルニアとの違い
- 再発ヘルニアの状態
- 巨大ヘルニアや特殊なヘルニアの形
- 周囲の臓器との関係
- 日帰り手術が安全に行えそうか
CT検査は、手術前の地図のような役割を果たすことがあります。
ただし、CT検査を行えばすべてが必ず分かるというわけではありません。
小さな鼠径ヘルニアや、立ったときだけ出るヘルニアでは、検査時の姿勢やタイミングによって分かりにくいこともあります。
そのため、CT検査は診察の代わりではなく、診察を補助する検査と考えることが大切です。
CT検査の注意点
CT検査は有用な検査ですが、注意点もあります。
被ばくがあります
CT検査ではX線を使用するため、被ばくがあります。
医学的に必要と判断される場合には有用な検査ですが、不要な検査はできるだけ避けるべきです。
妊娠中または妊娠の可能性がある方は、検査前に必ず医師へお伝えください。
費用がかかります
CT検査は保険診療で行われますが、検査費用の自己負担が発生します。
診察で明らかな鼠径ヘルニアと判断でき、CTを行っても治療方針が大きく変わらない場合には、必ずしもCTを行う必要はありません。
CTで分かりにくいヘルニアもあります
鼠径ヘルニアは、立ったときや力を入れたときに出やすい病気です。
検査時にヘルニアが出ていない場合、小さなヘルニアはCTで分かりにくいこともあります。
そのため、CTで異常がはっきりしない場合でも、症状や診察所見を総合して判断する必要があります。
CT検査は万能ではなく、診察と組み合わせて判断することが大切です。
当院での考え方
私は20年以上にわたり鼠径ヘルニア診療に携わり、これまで3500件以上の鼠径ヘルニア手術に関わってきました。
また、内視鏡外科学会技術認定医(ヘルニア)として診療を行うとともに、『おさえておきたい腹腔鏡下鼠径部ヘルニア修復術のすべて』の執筆にも携わりました。
その経験から感じるのは、鼠径ヘルニア診療では、診察で分かることと、画像検査で確認した方がよいことを見極めることが大切だということです。
CT検査は、診断や手術計画に役立つ有用な検査です。
しかし、すべての患者さんに一律で行う検査ではありません。
当院では、患者さんの症状、診察所見、ヘルニアの大きさ、再発の有無、手術歴、日帰り手術の安全性などを確認したうえで、CT検査が必要かどうかを判断しています。
当院では、必要な方に必要な検査を行うことを大切にしています。
よくある質問
Q. 鼠径ヘルニア手術前にCT検査は必ず必要ですか?
必ず必要というわけではありません。
典型的な鼠径ヘルニアで、診察で明らかに診断できる場合には、CT検査を行わないこともあります。
一方で、膨らみが微妙な場合、鼠径部痛がある場合、再発や巨大ヘルニアが疑われる場合などでは、CT検査が役立つことがあります。
Q. 診察だけで鼠径ヘルニアは分かりますか?
典型的な鼠径ヘルニアでは、診察で診断できることが多くあります。
ただし、膨らみが小さい場合、痛みだけの場合、再発が疑われる場合、大腿ヘルニアなど他の病気との区別が必要な場合には、CT検査などの画像検査を検討することがあります。
Q. CT検査で鼠径ヘルニア以外の病気も分かりますか?
CT検査で、鼠径ヘルニア以外の病気が疑われることがあります。
ただし、すべての病気が分かるわけではありません。
鼠径部痛の原因が股関節、腰、泌尿器科疾患、筋肉や腱の問題などにある場合には、必要に応じて他の診療科での評価が必要になることもあります。
Q. CT検査の被ばくは心配ありませんか?
CT検査ではX線を使用するため、被ばくがあります。
医学的に必要と判断される場合には有用な検査ですが、不要な検査を行うべきではありません。
当院では、診断や手術計画に必要と考えられる場合にCT検査を検討しています。
Q. CT検査を撮れば必ず鼠径ヘルニアが分かりますか?
CT検査は有用ですが、万能ではありません。
鼠径ヘルニアは、立ったときや力を入れたときに出やすい病気です。検査時にヘルニアが出ていない場合、小さなヘルニアは分かりにくいこともあります。
そのため、CTの結果だけでなく、症状や診察所見を総合して判断します。
まとめ
鼠径ヘルニア手術前のCT検査は、すべての患者さんに必ず必要な検査ではありません。
典型的な鼠径ヘルニアでは、診察で診断できることも多く、CT検査を行わずに治療方針を検討できる場合もあります。
一方で、
- 膨らみが微妙で診断がはっきりしない
- 鼠径部痛がある
- 再発が疑われる
- 巨大ヘルニアや陰嚢まで下がるヘルニアがある
- 大腿ヘルニアや特殊なヘルニアとの鑑別が必要
- 過去の手術歴があり、手術計画を慎重に立てたい
といった場合には、CT検査が診断や手術計画に役立つことがあります。
CT検査は有用な検査ですが、被ばくや費用もあります。また、CTだけですべてが分かるわけではありません。
大切なのは、診察と検査を組み合わせて、患者さんごとに必要な検査を適切に選ぶことです。
当院では、すべての患者さんに一律でCT検査を行うのではなく、必要な方に必要な検査を行うことを大切にしています。
鼠径ヘルニアかどうか分からない方、足の付け根の膨らみや痛みが気になる方、再発や大きなヘルニアで手術を迷っている方は、一度ご相談ください。
鼠径ヘルニアは当院までご相談ください

神奈川そけいヘルニア日帰り手術クリニック 川崎武蔵小杉は、鼠径ヘルニアの治療に特化した日帰り手術専門クリニックです。腹腔鏡による低侵襲手術を標準治療とし、身体への負担を抑えながら、手術当日にご帰宅いただける体制を整えています。
執刀は、鼠径ヘルニア治療において豊富な臨床経験と学術実績を有する星野明弘院長が担当し、診断から手術、術後フォローまでを一貫して行っています。
受診予約は、お電話またはWeb予約にて承っております。
鼠径ヘルニアや鼠径部の症状でお悩みの方は、当院へお気軽にご相談ください。



